東洋医学について②(気・血・水)

東洋医学における病気は、西洋医学で考える病気と異なることは前回のコラム東洋医学について①(西洋医学との違い) でお話しました。
西洋医学における病気とは検査データの数値異常や画像の異常などがある場合を病気としています。東洋医学では目に見えるものや自覚のある症状だけでなく自覚していない異常も発見し治療する医学です。
東洋医学では問診などの聴取はもちろん、患者様の顔色、声色、舌の状態、脈の状態など様々なことから患者様の健康状態を把握します。これにより自覚するまえの症状や不調を発見し治療することが出来ます。
これらの東洋医学的な診断法では患者様の体に流れる『気』『血』『水』が不足や滞りなく流れている状態を健康としています。流れの異常をなるべく早く察知して治療に繋げることにより不調のない健康な身体が維持されます。

『気』(き)とは体を巡るエネルギーで、成長・体温の維持・体の安定・免疫などの働きに関与します。『気』が少なくなると文字通り気力がなくなり、声は小さくなり倦怠感などが出やすくなります。また、体温の維持にも関係するので冷えやなどが現れます。また、『気』の流れが滞るとイライラしやすくなったり、お腹の張り感などが出ます。
『血』(けつ)は西洋医学でいうところの血液に近いですが、『血』は血液中のホルモンや栄養素・水分といった諸々も含めたもの総称となります。『血』には体を潤す・栄養するという働きがあります。特に脳や精神面への関与が強くこれらの安定に不可欠とされています。『血』が不足すると目のかすみや眼精疲労、髪のパサつきや、頭が重く働かないなどの症状が現れます。また、女性においては月経の異常などに繋がり、婦人科系の症状とは切っても切れない関係となっています。『血』の滞りは「瘀血」とよばれ、「瘀血」のある個所は肌がザラ付き変色し、押すと痛みが強いなどの特徴があります。
『水』(すい)は津液(しんえき)ともよばれ、体を潤すのと「血」の成分となる働きをします。『水』の不足は乾燥として現れます。体の様々な部分の乾燥の原因となり、肌はもちろん呼吸器系の潤いが足りないと咳などが起こります。また、消化器系の潤いが足りないと食べ物が飲み込みづらかったり、便秘が起こりやすくなります。また、『水』の滞りは浮腫みとして現れます。消化器系に影響すると食欲不振や下痢などを引き起こします。
このほかにも一般的な不調である頭痛・肩こり・腰痛・膝痛・風邪症状・耳鳴・難聴なども『気』『血』『水』の流れの異常で引き起ります。

このように東洋医学では『気』『血』『水』というものを対象に、西洋医学とはまた違った考えで診断と治療を行います。そのため、検査データの数値異常や画像の異常などがなくても病気を見つけ出し治療に繋げることができます。病院で相談しても解決しない悩みや不定愁訴などは東洋医学的な視点でみることをおススメします。原因不明の症状で治療法がわからないものでも、東洋医学的な視点で診断すれば治療に繋げられ回復するということは珍しくありません。気になる症状がある方はお気軽にご相談ください。当院では、不調を抱える方が少しでも楽になれるよう応援いたします。